小学校1-2年生クラス

5月20日の小学校1-2年生クラスは、ギリシャの記数法をしました。

ギリシャでは、ギリシャ文字をそのまま数字として使う方法が発達しました。ギリシャ文字はアルファ(α)、ベータ(β)で始まり、オメガ(ω)で終わる英語のアルファベットに当たる文字です。英語ではアルファベットは全部で26文字ありますが、ギリシャ文字は全部で24文字です。ちなみに、「アルファベット」ということばは、ギリシャ語のアルファとベータから来ています。

エジプトの象形文字はいろいろな土地に伝わって、それぞれの民族のことばを表す文字となりました。中でも、フェニキア人は地中海一帯を支配する海洋民族で、貿易で富を蓄えました。フェニキア人はエジプトの象形文字を借りてきてそれを音を表す文字(表音文字)として使い始めましたが、それがいろいろな民族に伝わっていったのです。そういうわけで、ヘブライ文字の最初の文字は「アーレフ」ですが、ギリシャ語の最初の文字は「アルファ」です。形も名前もよく似ているのは、どちらもエジプトで牛の頭の形から作った象形文字から来ているからです。このアルファがローマに伝わってローマ字の「A」になりました。また、ロシアに伝わって、キリル文字の「A」にもなりました。キリル文字はいまでもロシア語を表すのに使われていますが、キリル文字の形がギリシャ文字に似ているのはそういうわけなのです。


さて、ギリシャ文字は24個あるので最初から順に1,2,3,…を表すことにしましたが、6だけは例外です。6は「ディガンマ」という文字で表します。「ディガンマ」は「W」に当たる発音を表す文字としてギリシャの古い時代に使われていたのですが、やがて使われなくなりました。しかし、数字としての「ディガンマ」を廃止してしまうと数字の意味が1つずつずれてしまうので、それは不都合です。そういうわけで、「ディガンマ」がギリシャ語では使われなくなってからも、数字として書くときだけは使われ続けました。そのうち、「ディガンマ」は使われなくなり、「スティグマ」で代用されるようになりました。「スティグマ」は「シグマ」の異体字です。

こうして、1,2,3から9までの数字はギリシャ文字のアルファからテータ(θ)までを使って表すことができます。では10以上の数はどのようにして表したのでしょうか。10,11,12についてひとつひとつのギリシャ文字をあてがっていくとすぐに文字が足りなくなります。そこで、ギリシャの人たちはテータの次のギリシャ文字イオタ、カッパ、ラムダ、…を10,20,30,…を表すのに使いました。こうすると、たとえば「22」は「カッパ・ベータ」という2文字で表すことができます。


100以上の数についてもどうように、「ロー」が100,次の「シグマ」が200,その次の「タウ」が300というように進んでいきました。さっきも書いたように、ギリシャ文字は24文字しかありません。1から9までで9文字、10から90までで9文字、100から900までで9文字を使うと、合計27文字が必要になり、3文字たりません。足りない3文字には、「ディガンマ」などの昔使われていたギリシャ文字3文字を当てました。このため、90と900はギリシャ古典期にはもう使われなくなり、発音もわからなくなっていた文字を使ったということです。90は「コッパ」といい、「Q」のような形をしていましたが、だんだんと形が崩れて、稲妻のような形になりました。900は「サンピ」という文字を使っていましたが、これも形が崩れて別の字のようになりました。

こうして、ギリシャでは999までの数が1文字~3文字のギリシャ文字を並べることで表せました。

1000以上の数は、3桁ごとに区切ることで何とか表したということです。

今でもギリシャの人たちはギリシャ文字を使っています。そしてギリシャ文字を使った数の表し方も使っているそうです。

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