小学校1-2年生クラス

5月6日の小学校1-2年生クラスは、エジプトの数字を使って計算をしました。

古代エジプト文明は世界の4大文明の一つです。ピラミッドの中の壁に書かれている文字はヒエログリフ(hieroglyph、聖刻文字、神聖文字)といい、王朝の歴史などが書き記されています。ヒエログリフは象形文字(しょうけいもじ、ものの形をかたどって描かれた文字からなる文字体系)で19世紀に解読されました。一方、より実用的な文字であるヒエラティック(神官文字)は、おもにパピルスという紙の上にインクで書かれました。

ヒエログリフでは、「1」は |、「2」は || のように縦棒で表されます。| が10個集まると、∩ という別の文字が使われました。「20」は ∩∩、「30」は ∩∩∩ と書かれました。それで、「34」は ∩∩∩|||| となりましたが、これは ||||∩∩∩ と書いても同じです。つまり、同じ文字を読みやすいようにまとめて書かれたにせよ、数字の並べ方は自由でした。また、縦に並べても横に並べても自由です。そもそもヒエログリフは右から左に書いても左から右に書いてもよく、上から下に書くことも、下から上に書くこともできました。ピラミッドの大きな壁には、右、左、また右と、蛇のように向きを変えながら綴られた文章が刻まれています。

ここまでの説明で、ヒエログリフでは足し算が簡単にできることがわかるでしょう。たとえば、「12+23」は「∩||」と「∩∩|||」を単に並べて「∩||∩∩|||」とするだけでよいのです。読みやすいように同じ数字をまとめると、「∩∩∩||||」となり、答えは「34」だとわかります。このように、ヒエログリフを使った足し算は、あたかもお金を並べて数えるようにして計算でき、足し算に関する限りは、覚えることは何もありませんでした。(ヒエラティックでは、より早く書けるようにするために、1,2,3,4はそれぞれ別の文字になりました。)ヒエログリフで「10」を表す ∩ という文字は、踵(かかと)の骨の形から来ていますが、これはおそらくサイコロ遊びと関係があるでしょう。まだ研磨の技術が発達していなかった太古から、人々は石や動物の骨を投げてサイコロ遊びをしました。とくに、羊の踵の骨は立方体に近いので、サイコロにするには最適だったのです。ヒエログリフで「100」を表す文字は ρ です。これは丸まったロープの形です。これは麦などを束ねるのに使ったロープに関係があるでしょう。ところで、「1000」は蓮の花の形です。「10000」は曲がった指の形、「10000」(十万)は蛙の形、そして、「1000000」(百万)は「へー」という神様が驚いて両手を高く挙げた形をかたどったものです。これは、数の大きさに驚いているのでしょう。

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