9点円

8月16日の中学生クラスでは、9点円について議論しました。

三角形ABCの辺BC, CA, ABの中点をD, E, F、
頂点A, B, Cから対辺に引いた垂線の足をG, H, I、
垂心と頂点A, B, Cとの中点をJ, K, L
とすると、9点D, E, F, G, H, I, J, K, Lは同一円上にあり、この円を三角形ABCの9点円といいます。

証明は簡単です。
以下、三角形ABCの垂心をMとします。


(1) 実際に図を描いて眺めてみれば明らかなのですが、
FEとBCは中点連結定理により平行になります。また、
KLとBCも中点連結定理により平行になります。
結局、FE, KL, BCの3本の直線は互いに平行なのです。
ここで、四角形FKLEに着目すると、2つの辺FE,KLがBCに平行です。

(2) では、残りの辺FK, ELについてはどうでしょうか。
これらも平行になっているように見えます。
実際、
FKとAMは中点連結定理により平行になります。また、
ELとAMも中点連結定理により平行になります。
結局、FK, EL, AMの3本の直線は互いに平行です。

(3) さらに、
AGはAから辺BCに引いた垂線なので、
BCとAMは直交しています。
よって、四角形FKLEは長方形となるので、
4点F,K,L,Eは同一円上にあることがわかります。
この長方形の対角線はFLおよびEKなので、
4点F,K,L,EはFLおよびEKを直径とする円周上にあることがわかります。
さらに、
三角形FILは直角三角形なので、IはFLを直径とする円上にあり、
三角形HKEは直角三角形なので、HはKEを直径とする円上にあります。
以上より、6点E,F,H,I,K,LはEK,FLを直径とする円上にあります。

同様に、
(4) 6点F,D,I,G,L,JはFL,DJを直径とする円上にあり、
(5) 6点D,E,G,H,J,KはDJ,EKを直径とする円上にあります。

(3),(4)の円はどちらもFLを直径とするので同じ円であり、
(4),(5)の円はどちらもDJを直径とするので同じ円です。
よって、(3),(4),(5)の3つの円は同じ円です。
よって、
D,E,F,G,H,I,J,K,Lは同一円上にあります。(証明終わり)

辺上の6点D,E,F,G,H,Iが同一円上にあることは1765年に証明したともいわれています。残りの3点を加えた9点が同一円上にあることは56年後、つまり、1821年にフランスのジャン=ヴィクトル・ポンスレとシャルル・ブリアンションによって証明されました。その翌年、1822年にドイツのカール・フォイエルバッハは9点円が三角形の内接円および3つの傍接円に接することを証明しました。これをフォイエルバッハの定理といいます。

9点円はフランス語で le cercle des neuf points, 英語で the nine point circle といいます。

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