フランク・モーリーの定理

8月23日の中学生クラスは、「フランク・モーリーの定理」を証明しました。この定理は任意の三角形において、3つの頂点から引いた角の3等分線(それぞれの頂点から2本ずつ引く)の交点を結ぶと正三角形になるというものです。この定理に実用的価値はありませんが、とても美しいことでよく知られています。

フランク・モーリーの定理の証明


証明には信じられないような補助線を使います。フランク・モーリーはどのようにしてこのような美しい定理の成立を予想したのでしょうか。そして、また証明の発想はどこから来ているのでしょうか。
証明には「一致法」というテクニックを使います。しかし、それだけのヒントでは証明することはできません。もうひとつのヒントは円周角定理を用いるということです。しかし、これとても円周角定理をどのように用いるかがわからなければ、何のヒントにもならないのです。
証明には、真ん中に正三角形ができるという結論だけでなく、その正三角形についてさらに詳しい情報が必要です。このことから、フランク・モーリーはまず正確に作図をしたに違いないと思うのは自然です。
ところが、ここにもう一つの問題があります。それは、任意の角を三等分するという作図問題は解くことが不可能であることが、ガロア理論によって証明されているということです。ですから、モーリーが正確な作図をしようとたとしても、それには定規とコンパス以外の道具を使わなければ不可能だったでしょう。
では、どうやったのか?
定理は証明できるのですが、その図形を(定規とコンパスだけで)作図することは不可能であるということ。そして、にも関わらず、定理の結論はとても美しいということがこの定理の神秘性を高める要因となっています。
実は、この定理には平面の変換群を用いた群論的な証明も知られています。それはまさに数学の不思議さを感じさせるような証明です。

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